ルイス・ファン・ハール(Louis VAN GAAL)
フルネーム アロイシウス・パウルス・マリア・ファン・ハール
国籍 オランダ
出身地
生年月日 1951・8・6
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
経歴 1986〜87 2005〜09 AZ
1987〜97 アヤックス
1997〜00 2002〜03 バルセロナ(スペイン)
2000〜01 2012〜14 オランダ代表
2009〜11 バイエルン(ドイツ)
2014〜16 マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)
獲得タイトル 91/92UEFAカップ
92/93オランダカップ
93/94〜95/96,08/09エールディヴィジ
94/95UEFAチャンピオンズ・リーグ
95FIFAインターコンティネンタル・カップ
97/98,98/99リーガ・エスパニョーラ
97/98コパ・デル・レイ
15/16FAカップ
選手時代はアヤックスユース出身で、激しいボディコンタクトから「アニマル」と言われたDF。スパルタやAZなどに在籍しましたが、トップチームでのプレー経験はありませんでした。
国内リーグ通算290試合26得点の成績を残して引退しました。

選手をシステムに当てはめる戦術至上主義の代表的存在。試合中、メモ帳や選手のフォーメーションを示すボードを常に携えています。起用を巡る選手との衝突も多いものの、その実績は輝かしいものがあります。メディアへの自信に満ちた発言も印象的です。
布陣はオランダ伝統の4−3−3はもちろん、フィールドを広く使って選手同士がパス交換に困らない、俗にアヤックスシステムと呼ばれる3−4−3を採用します。素早いパス回しでのポゼッションやWG配置によるサイド攻撃を得意とします。また、若手育成にも定評があります。

現役引退後、AZのアシスタントコーチに就任して指導者としてのキャリアをスタートさせます。1988年1月にアヤックスへ移り、ユース部門のディレクターやアシスタントコーチを歴任し、FWクライファート、オーフェルマルス、MFダーヴィッツ、セードルフらを育てました。
1991年9月にベーンハッカー監督の後を継ぎ、トップの監督に就きます。1年目はトリノを決勝で破ってUEFA杯を、2年目も国内カップを制します。その後国内リーグ3連覇を達成、特に94/95シーズンは国内リーグとチャンピオンズ・リーグ(決勝でミランを破り、クライフ監督の72/73シーズン以来となるビッグイヤーを43歳の若さで獲得)で無敗と快進撃を見せました。
1995年に初来日。ブラジルのグレミオと対戦してPK戦の末勝利し、インターコンティネンタル杯も獲得しますが、国立競技場のピッチコンディションに苦言を呈する場面もありました。
97/98シーズンよりボビー・ロブソンの辞任を受けてバルセロナに就任します。1年目はクラブ39年ぶりの国内2冠を達成し、翌年もリーグ連覇して一応の結果を出しましたが、本来司令塔のリヴァウドをWGとして起用して軋轢を生んだ他、ライツィハー、デ・ブール兄弟、コクー、ゼンデン、クライファートやリトマネンと、アヤックスでの教え子を次々と引き抜いて自身の戦術を具現化できる選手ばかりを重用、デ・ラ・ペーニャ、アモール、セラーデスなどカンテラ上がりの選手を冷遇したことにより、サポーターからはクライフ監督のような尊敬を得られませんでした。
チャンピオンズ・リーグでも結果は残せず、98/99シーズンはグループリーグで敗退し、翌シーズンは準決勝でバレンシアに敗れました。バルセロナ解任の際には「私は去る。みなさん、おめでとう」という皮肉に満ちた言葉を残して議論を呼びました。
その後、自身にとって試練の時を迎えます。2000年にオランダ代表に就任して2年後のW杯を目指しますが、クラブと勝手が違う代表チームでは戦術を選手に会得させるのに苦労します。局面を打開できるベルカンプの代表引退も響き、中盤以降を守備で固めて質量ともに世界屈指の陣容を誇る前線の個人能力に多くを委ねることとなりました。結局ポルトガルやアイルランドに1度も勝てず、16年ぶりの予選敗退の責任を取って辞任しました。
復帰したバルセロナでは、「本来獲得しなくてもいい選手」だったMFリケルメを冷遇。チームも一時は12位に沈むなど不振を極め、シーズン途中で解任された際も「私がこのクラブの最高の監督であったと確信している」と発言しました。その後アヤックスのテクニカルディレクターに就きますが、監督のR・クーマンと対立してチームを追われました。
しかし約20年ぶりにAZに復帰して再び実力を発揮します。アヤックスでのプレー経験があるFWアルヴェラーゼや、オランダ代表に招集されたMFランザート、DFマタイセンなど要所に実力者を揃えてフェイエノールトやアヤックスを抜いてリーグ2位の好成績を収めました。
ビッグネームがいないので選手との軋轢もなく、限られた戦力においてはフォーメーション変更など過去に比べると柔軟な対応を見せるようになります。08/09シーズンはFWエル・ハムダウィが得点王になる活躍を見せるなど、28年前を上回る25試合無敗というクラブ記録を打ち立てると、2位のトゥベンテに11ポイント差をつける圧倒的な強さでリーグ優勝を達成。アヤックス、PSV、フェイエノールトによる3強時代に終止符を打ちました。
指導力に再び注目が集まり、クリンスマンを解任したバイエルンへ引き抜かれます。長らくクラブの最終ラインを支えたルシオを放出し、ティモシュクを獲得して本来守備的MFの彼をCBとして起用します。攻撃ではロッベンやゴメス、オリッチと質量共に文句なしの補強を見せ、オランダ人初のブンデスリーガ制覇と国内カップの2冠を達成。チャンピオンズ・リーグでは、バルセロナ時代に苦楽を共にしたモウリーニョ率いるインテルに敗れましたが、クラブ10年ぶりの決勝進出と結果を残しました。2年目はレンタルバックのクロースやW杯でブレイクしたミュラー、バドシュトゥバーといった若手を重用しますが優勝争いから脱落します。冬にはファン・ボメルが退団し、ホッフェンハイムからグスタヴォを引き抜きましたが、チャンピオンズ・リーグ出場権と最低限の結果しか残せず解任されました。
2012年欧州選手権終了後に11年ぶりにオランダ代表に復帰し、ファン・マル・ヴァイク監督の下で惨敗したチームの再建に乗り出します。2014年W杯予選は組み合わせに恵まれ、9勝1分の首位で通過します。本戦ではストロートマンの離脱が決まり、それまで使っていた4−3−3から3−5−2(5−3−2)に変更します。国内組を軸とした8人で守り、ロッベン、ファン・ペルシ、スナイデル、特に前の2人の持ち味を最大限に発揮させる割り切った戦術で臨みます。前回決勝の再現となったスペインとの初戦は先制されますが、ファン・ペルシのダイビングヘッドやロッベンのドリブルで粉砕します。思わぬ打ち合いとなったオーストラリア戦はデパイ、3戦目はフェルと若手が結果を残しました。メキシコ戦ではフンテラールの起用が当たって終了間際の6分間で2点を取って大逆転し、コスタリカ戦はスコアレスドローからのPK戦でシレッセンからクルルに交代、2本のキックを止めて勝利します。アルゼンチンとの準決勝でもスコアレスドローに終わり、フラールとスナイデルがPKで止められました。その後3位決定戦に異議を唱えますが、試合では不動の2トップを出場させて早々に先制、ドイツ戦の大敗を引きずるブラジルから易々と勝利して無敗で3位となりました。チームの成績は前回大会から下がりましたが、カイトのWB起用に代表される意外性のある選手起用や柔軟性のあるシステム変更と、長年の経験を活かした采配で、サッカーにおける監督のウエイトおよび自らの実力を示しました。
その後、W杯開催中に就任が発表されたマンチェスター・Uに合流します。ディ・マリアやファルカオは機能しませんでしたが、2度の6連勝を飾るなど4位で終えてチャンピオンズ・リーグ出場権を手にします。2年目はマルシアルやラッシュフォードといった若手が活躍しますが、ルーニーや新加入のシュヴァインシュタイガー、デパイが低調だったこともあり、2年ぶりのチャンピオンズ・リーグはグループリーグで敗れ、ヨーロッパリーグでリヴァプールに敗れます。国内はFA杯優勝でヨーロッパリーグの出場権は獲得したものの、リーグ戦は5位に終わり解任されています。

※:アムステルダム

余談
・体育の教員免許を所持しています。
・ニックネームは「アルクマールの皇帝」「鉄のチューリップ」です。
2009年3月20日:新規アップ 2016年6月5日更新

94/95アヤックス(CL優勝)
クライファート
オフェルマルス フィニディ
リトマネン
ダーヴィッツ セードルフ
ライカールト
F・デブール ライツィハー
ブリント
V・デルサール

97/98バルセロナ(リーグ優勝)
  アンデルソン  
リヴァウド フィーゴ
ジェオヴァンニ L・エンリケ
  セラーデス  
セルジ ライツィハー
ボハルデ ナダル
  ヘスプ  

01オランダ代表(W杯予選敗退)
ハセルバインク クライファート
オフェルマルス ゼンデン
ダーヴィッツ ファン・ボメル
コクー ライツィハー
F・デブール スタム
  V・デルサール  

05/06AZ(国内リーグ2位)
  アルヴェラゼ  
ペレス メールディンク
スカールス ランザート
  メドニャニャン  
デクレル ヤリエンス
オプダム マタイセン
  ティマー  

08/09AZ(エールディヴィジ優勝)
デンベレエル・ハムダウィ
 マルテンス 
スハールスデゼーウ
 メンデス 
ポコニョーリスウェルツ
モレノヤリエンス
 ロメロ 

09/10バイエルン(国内2冠)
オリッチ T・ミュラー
リベリロッベン
シュヴァインシュタイガーファン・ボメル
バドシュトゥバーラーム
デミチェリスヴァン・ブイテン
 ブット 

14オランダ代表(W杯3位)
ファン・ペルシ ロッベン
  スナイデル  
ブリント ヤンマート
N・デ・ヨング デ・グズマン
M・インディ デ・フライ
  フラール  
  シレッセン  

15/16マンチェスター・ユナイテッド
 ルーニー 
 マタ 
マルシアルリンガード
キャリックシュネデルラン
ロホダルミアン
ブリントスモーリング
 デ・ヘア